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ところが、三日経ち、十日が過ぎても俺はクビにはならなかった。
曹雷さまからは、相変わらずどうでもいい雑用が山ほど持ち込まれる。
毎回怒鳴られはするが、慣れ切っているからさほどこたえない。
それをいいことに、俺は煤をこね回すことに明け暮れた。
この辺りに松の木が多いのは幸いだった。
松ヤニのついた木切れの方が煤がよく取れることもわかった。
時には例の悪ガキ三人組もぶつぶつ言いながら手伝ってくれる。
生意気な楊瑞は、ちっちゃな大人のような口をきく。
「ゲホゲホ。煙たいなあ。おじちゃんと同じくらい燻ってるなあ、この木切れ」
余計なお世話だが、俺もそう思った。
「おじちゃん!これやって儲かるのかい?」
元気のいい崔俊がもっともなことを聞いてきた。
「いいや、全く」
「えー、そんならやめるー」
「そういうな。俺が偉くなったらちゃんとおごってやる」
「それはいつ頃になるの?」
あいかわらず辛口な文益は無表情でちょっと怖い。
「そうだな、二千年ぐらい後かな」
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