✳続編 〜王子様の寵愛は永遠に〜

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――はやいもので、出産して今日でちょうど一ヶ月。  予定日の二日前。深夜に陣痛を感じた私は、永斗さんと共にタウン内の病院へ向かい、そこで三千グラムの男の子を出産した。  初産にしてはとてもスムーズな流れだったようで、先生からも「まさに安産ね」と太鼓判を押してもらったほどだ。  ――とは言っても、何度も挫けそうになったし。息を忘れそうな痛みから逃げ出したくもなったし。襲ってくる陣痛が怖くて全身が震えたりもした。  けれども、そんな窮地を乗り越えられたのは、他でもない永斗さんのおかげだ。  ずっと手を握って、真剣な顔で励ましてくれた。彼は、いつだって私の原動力。  そして――出産後。 『来美⋯⋯ありがとう』  気が張っていたのか、永斗さんは、産まれたての“斗真”をその腕に抱いたとき――ポロリと、目から雫をこぼした。  それがあまりにも綺麗で、繊細で、今でも瞼の裏に鮮明に焼き付いている。
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