番外編① 島田くんは困っている

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「こんにちは⋯⋯島田さん」 声のしたほうを見ると、ベッドルームの入口から、桃色のパジャマにカーディガンを羽織った来美さんがひょっこり顔を出していた。 小柄な身体が、以前よりも小さく見える。 「お加減の方はいかがですか? 永斗さんに頼まれていこちらをお届けに参りました」 先程ダイニングテーブルに置いた紙袋をちらりと見やる。 「ほ、本橋屋の⋯⋯和菓子! でも今日、会食があったんじゃありませんか?」 「⋯⋯それについては、後ほど永斗さんにお聞き下さい」 言えば愚痴になりそうだ。 しかし、良かった。起こす手間が省けた。 パジャマだというのが、ほんの少しだけ落ち着かない気分にさせるが。 体調が良さそうな彼女をリビングへとうながし、レモンティーを前においた。 「ありがとうございます⋯⋯ちょうど、喉が乾いて起きてしまって」 そう言って、ソファ掛かっていたブランケットを膝にかけて、カップに口をつける彼女。かけていた眼鏡が一瞬でくもる。 その横に立ち、小皿に和菓子を添えて差し出した。 「こちらも食べれるのであれば、どうぞ」 「ありがとうございます。食べれそうです」 嬉しそうに顔を綻ばす彼女は、身体が一回り小さくなったかと思ったが、お腹のあたりはふっくらしている。
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