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「⋯⋯お子様の性別は、わかったのですか?」
重たい雰囲気を払拭するため、サラッと話題を変えると、案外単純な彼女はパッと表情を明るくした。
「先日行ったときに、男の子じゃないかといわれました。永斗さんもとても喜んでくれてて、とっても幸せなんですが⋯⋯でも、早速色んなものを購入しようとするので⋯⋯止めるのが少し大変です」
「想像つきますね。検診に行くたびにエコー写真を見せられます。⋯⋯それはそれはものすごく、しつこく。」
「ゔっ⋯⋯すみません」
そこで、ふと、彼女は時計を見る。
おそらく、彼の帰宅を待っているんだろうが。
「――お帰りにならなくて大丈夫ですか? 私の方は大丈夫なので⋯⋯勤務時間は終えているでしょうし」
おっと、私への気遣いのようだ。さすがだ。
「お気遣いなく、ここに来るまでに夕食も済ませてますし、永斗さんが帰宅するまでいるのが業務だと思っておりますので」
一口で答えると「あ⋯⋯そうですか」戸惑いがちな彼女。
とはいえ、体調が悪いようであれば、先に休んでもらったほうがいいだろう。
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