番外編① 島田くんは困っている

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そもそもこの漆鷲永斗とは、母親同士が古くからの学友であり、物心つく前からの付き合いである。 気づいたら、この男に懐かれて、割と育ちの良い私も、小・中・高と同じ学歴を歩み、やっと離れたと思った大学卒業後、尊敬する会長から“お目付け役”の話しが回ってきた。 家族以外で彼に物申せるのは私くらいであるのは知っていたが、まさか、こんな長い付き合いになるとは思わなかった。 しかしながら、これを引き受けた私も、おそらく彼のことを、そこまで鬱陶しくは感じていなかったんだろう。何しろ3人弟妹の長男だ。面倒事には慣れている。 昔から、一見、物腰が柔らかくその美しさに騙されそうになるが、実際のところ、彼は、とんだなんちゃって王子様だ。 優しい両親に甘やかさかれて育った、生粋のおぼっちゃまであり 心を許した相手には、ワガママを言って強引に事を進めようとするとんでもないときもある。 とくに、困ったときの子犬のような上目遣いなんて、あれは極めて危険だ。私でさえもクラクラするときがある。通常レベルの生身の人間なら、即ノックアウトだ。
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