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しかし甘いようで、実際あまり人を心の内に入れることをしない。
こんなバラを背負ったような風貌のくせに、割と淡々としていて、何人もの女性を泣かして来た。
人一倍頭がキレるため、こと荒立つようなフリ方はしないんだが⋯⋯
仕事最優先の淡泊な王子様の態度に耐えられず、泣いて去る女性の姿を何度も見かけたことがある。
振り返ると「仕事と私どっちが大切なの?!」と水を浴びせられたこともあれば、「なんでみんなに平等なの?!私は特別じゃないの?!」と靴を投げつけられて、ヒールで顔を怪我したときあった。
あのときは執着した相手側に手を切ってもらうのも大変だったのも記憶している。彼の知らないところで、かげながら私も苦労しているのだ。
まぁ、そんなこんなで、会長には彼の世話と行動報告を頼まれている。(なんたかんだ会長も過保護だ)
そんな彼が、ひとりの女性にここまでのめり込むことは、はじめてだった。
彼の愛する奥様、真島さん⋯⋯いや、もうくるみさん、と呼ぶべきか。
就任して早々、ひたむきな彼女を見初めた永斗さんは、ずる賢い手段と、自分の美貌をつかって口説き落とし、今では式を挙げて4カ月。
さらには、お腹には5カ月となる命が宿っている。
式の前日に妊娠が判明したそうで、その報告を受けた彼は、喜びに震えていた。
しかし、つわりの時期がはじまると、今度は心配で悶々とした日々を過ごすようになり
休憩時に電話したり、昼休みに一度帰宅したり
最近は体調が落ち着いてきたようだが、過保護なまでにあれこれ世話をやいている。
呆れるほどに、彼女に執着してすぎている。迷惑なほどに。
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