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プロローグ ユイカ、ユキと出会う。 05
俺は頭を上げた。女のコが俺を見て微笑んでいる。
「あ、いやホラ、私の番号のすぐ前があなたでしょ?
出てるわよ。あなたの受験番号。14315って! 」
え?……俺の受験番号?
…………え────────────っっっ!!!!
あった!
受かってた!
……良かったぁぁ……。
俺はその場で力を失い、その場で崩れ落ちてしまった。
「良かったね、ユキ君」
彼女は俺に手を差し伸べて来た。白い小さな女のコらしい手。
華奢な手。俺にはそれが何だか、天使の手に見えた。
……いやいや、嘘じゃない! 本当にそう見えたんだ。
俺は、彼女の手に自分の手を差し出した。
途端、俺はググッと強く、彼女に引っ張り上げられて──
「うわっ! 」
「キャッ! 」
勢いで、何だか、俺は────、
彼女に抱きついてしまう格好にっ!
……ならなかった。
寸前の所で、彼女は俺を受け流したからだ。でも、彼女は俺の手をその白い小さな手で繋いだままだった。
その時、俺と彼女は互いの手を繋いだ状態でピンッと、緊張が生まれ────、二人は互いによろけそうになった。
どっちとも付かない方向に、こけそうになって……。
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