梅雨の空

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フェンスに絡んだ雨雫、 落ちずに向こうの景色が光る。 風が吹いても止んでても、 絡んだままの雨雫。 やがて自然には逆らえず、 時が停まる様にスーッと 落ちて。 この瞬間に、 ぼくの心もスーッとなり。 銀色の輝く屋根が、 遠く昔の遠い時間。 今よりはたぶん、 何も考えていない時。 何も無い、 君も居ない、 ぼくもひとり。 これから明日へと歩き出す、 自分の姿が水溜まり。 勇気と迷いに風吹かれ、 雨に流れて歪む空。 泪は人生三度だけ、 生まれ死なれ死にゆく前に。 あと一度、 その時まで泣かずに居よう。 君の後ろ泣き姿、 一生忘れることなく生きる。 全てが銀色に染る頃、 止まない雨の無い明日へ……
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