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3・ミラクル発生!?
「教室じゃ、ちょっと……」
そう佐藤くんは視線を逸らしながら言った。
すこし不安になりつつも、大人しくついていくと着いた場所は、理科室だった。
「・・・勝手に入っていいの?」
授業で使っている時と違って、誰もいない教室は不安になるほど静かで、はじめてきた場所みたいだと思った。
「あ、うん。一応、写真同好会の部室で使うことになってるから」
「え! つまり、佐藤くんって写真部なの?」
知らなかったクラスメイトの情報を一つゲット!
いつもの情報収集しているせいか、新しい情報には目がない。ちょっと食い気味に言葉を重ねた私に驚いたものの、佐藤くんは声を戸惑いながらも答えてくれた。
「えっと、その、カメラが好きで……で、でも、部員て言うか、メンバーは俺と3年の先輩しかいないんだけどね」
「へぇー」
なるほど。真面目まっしぐらな佐藤くんが自然と部屋の中に入ったことも納得だわ。
となると? ま、まさか、佐藤くんが欲しいアドバイスって写真のアドバイスってこと?
いや、私、別にインスタ(写真投稿アプリ)とかやってないし、クラスの他の女子の方が圧倒的に、写真(主に自撮り)撮ってるし、その子達の方が良いのでは?
佐藤くん、もしや、誰かと間違えている??
いや、さすがにクラスメイトの名前間違えるとか、ないない。
じゃあ、なんで私?
何度、頭をひねっても、首を傾げても、相談されそうなことに思い当たることがない。
頭の周りにはクエッションマークが自由気ままに飛んでいる。
「あ、で、その、鈴木さんに相談したいことっていうのが・・・」
自分でもわかるぐらい顔をしかめていた私をみて、佐藤くんは慌てて、目の前に差し出したのはーー
「イヤホン?」
「あ、もしマイイヤホンあれば、それでも。と、とにかくコレを聞いて欲しいんだ」
イヤホンとともに視界に移されたのは携帯。
その画面には音楽を表す、音符マーク。
なぜに音楽?
なんか、全然、分からないけど。
もしかしたら、一人ずつ、女子に声をかけて、アンケート調査とかしているのかな?
「うん? わかった。じゃあ、私、自分のがあるから、えっと……コレを聞けばいいのね??」
口数の少ない佐藤くんから出された情報から予想することができないので、結局、何をしたらいいのか分からないままに、とりあえず、再生ボタンをタップしてみた。
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