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「佐藤くん!」
思いついたら、すぐ行動!
沈む佐藤くんに声をかけると同時に、両手で佐藤くんの手を掴み、引き寄せる。
そして、思い切り、抱きしめる。
「っ!?」
佐藤くんの言葉にならないぐもった声が触れている胸から響く。
固まる佐藤くんから少し離れて見上げると、大きく瞳を開いた表情をしていた。
自分の出した答え《アイディア》が正解だったことに確信を持つ。
「ね! 気分転換に遊びに行こっ?」
最後の一押し。
固まり続ける佐藤くんの手を掴んで、出来る限りの満面の笑みと用意していた言葉で語りかけた。
「ふぁぁぁぁ!?」
予想以上の驚きを表す佐藤くんに、思わず笑い声が漏れてしまう。
「ふふっ。予想外なことが起きて、ドッキリしたでしょ?」
「へっ・・・あ?」
一瞬、呆けたような間が空いてから気づいた佐藤くんにナイスなアイディアを説明する。
「いつも真面目でしっかりしている委員長に、こう、誘いが来るなんて想像してないっていうか、ちょっと強引さみたいな、男らしさってやつかな?
そういう感じに誘ってもらえたら、女の子ってキュンってしちゃうのよね。
それを口を説明するのが難しいけど、こんな風な突然なビックリする衝撃に通ずるものがあると思うのっ」
「な、なるほど」
驚きの衝撃が抜け切れていない佐藤くんに向かい、腰に手を当てながら、この声オタの熱い想いをぶつける。
いくつものコミュニケーションアプリをやってきた中での、ドキドキイベントの中にあった。
不意打ちに抱きしめられるて「きゅん」なシーンは何度も目にしていたし、画面越しの私も相当、ドキマギさせられた。
さすがに現実に興味がないので、男子を抱きしめる経験なんて家族以外でははじめてだったけど。
声オタたるもの、応援するためなら、火の中、水の中……はムリだけど、できることはやった。
佐藤くんに説明しながら、やはり、間違っていないと確信ができたし、やったことで私自身のイメージも明確になってきた。
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