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「ここのところ最近、毎日、佐藤くんと放課後過ごしているらしいじゃない?」
いつもの休み時間。
ざわつく教室の中で、愛美の声はよく聞こえた。
「あぁ! うん。そうそう。ちょっとーカメラに興味が出てきて体験入部っていうか……見学させてもらっているのよっ」
愛美の疑問に危うく答えそうになったけど、なんとか耐えた。
学校側は知っているのかもしれないけれど、秘密って約束したんだからね。
守秘義務は守らねば!
「ふーーーん。二次元ていうか、声優にしか興味がなかった人間が、カメラねぇー?」
その長すぎる相槌に、だらだらと嫌な汗が流れる。
愛美が怪しむのは当然だ。しかし、理由は話せない。佐藤くんが声優だと言うことをバレずに説明するなんて無理すぎる。
もはや、これは、秘儀・聞き流ししかない!
吹けない口笛をマネながら、なんでもないように装う。
しばらく、愛美のじっと見る視線を感じたが、数秒後には小さなため息を聞こえてきた。
「・・・はぁ。まー。なんにせよ。画面越しじゃなくて、人間に興味持ってくれただけでも良いか……佐藤くんなら、真面目だし。まぁ、大丈夫でしょう」
なんと、学校のお姉ちゃんは心配してくれていたらしい。
持つべきは友いや、お姉ちゃんだ。
もし、言える時がきたら、一番に報告するからね!
早く報告できるように頑張ろう、そう静かに決心する私の耳に、低音ボイスが届いた。
「それに……佐藤くんなら、倒せる自信がある」
ポソリとこぼした愛美の言葉に、情報解禁されたら、ちゃんと誤解を解こうと、力強く誓った。
佐藤くんと私はそんな関係じゃないから!!
むしろ、実際は、私が佐藤くんが心で泣いているような気がしなくもない。
最近の秘密のレッスン風景が頭に浮かんで、私は私で悩ましい現状に困っていた。
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