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8・秘密のヒミツ!?
『姫様、ご無沙汰しております。お元気でしたか?』
数日ぶりにみる金髪碧眼の王子様は相変わらず、キラキラと輝いていて、優しく語りかけてきてくれる。
「うん。ひさしぶり……ウィリアム」
ウィリアムと出会ってから、1日1回は必ず会っていた。会わない日がなかったはずなのに、この声を聞いただけで晴れやかになっていたのに私の心は曇ったままだ。
ウィリアムの声はもちろん、変わっていない。
ならなぜ、私の胸がときめかないのか?
それは、ウィリアムと会わなかった時間に、一緒に過ごしていた人、佐藤くんのことが気になって落ち着かないんだ。
佐藤くんに聞いていた収録日は土曜日で、今日は日曜。
つまり翌日。
私は、朝から部屋で「うまく行ったかな?」って、そればかり考えていた。
土曜も土曜で気が気でなくて、何をするにも集中できずにいて、マンガみたいにドアにぶつかったのだって片手じゃ足らないくらいだった。
ウィリアムと会うでもなく、ずっとスマホの画面を眺めていた。
でも、佐藤くんから連絡もなくて、太陽が沈んで、月が輝いていて、気づけば、朝だった。ウソでしょ。記憶が飛んでる。寝落ちしてただけど、自分でもびっくりした。そのあとも、寝起きのままのそのそ動いて、親に「ぼーっと食べるな」なんて注意されながら朝ごはんを食べた。親の注意が正当すぎて、ぐうの音も出ずに、ごはんを完食して、大人しく部屋に戻った。
それからずっと、無駄に部屋の中で、立ったり、座ったり、寝転がったり、落ち着かない。見ないように置いたスマホが、なんだかんだ視界に入ってくる。
「はぁ。私、なにやってんのかな」
自分の理解不明な行動にツッコミを入れた時だった、スマホのメッセージアプリの通知音が鳴った。
反射的に飛びつくように手にとったスマホの画面に表示されたのは佐藤くん。
<今日、空いてる? 少し会えないか?>
私は、すぐに返事をした。
<空いているよ!>
<よかった。じゃあーーー>
佐藤くんとのメッセージでの会話はテンポよく進んで、私がよく知っているお気に入りのカフェで会うことになった。
私は急いで、ボサボサの髪の毛をきれいにまとめて、伸びきったTシャツを脱ぎ捨てて、お気に入りのワンピースに着替えた。全身鏡でバランスを確認しながら、カフェの準備を整える。
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