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Ｑ・好きな声って！？
いつものお気に入りのカフェ。
窓が見える位置に座ったため、ガラス越しに見える外の景色は、陽射しでキラキラと、おしゃれで近代的なビル壁が輝いている。その表面には空が写り込んでいて大きな鏡のようだ。
「ねぇねぇ、佐藤くん」
景色を楽しみつつも、さっきから気になっていることを伝えてたくて仕方がない。うずうずする気持ちを抑えて、声を小さくする。そして、向かい側に座って事務所の課題に目を通している佐藤くんの名を呼んだ。
「ぇ？」
佐藤くんは不思議そうに顔をあげた。
私は目線が合ったのを確認して、そのまま言葉を続ける。
一人だったら、ニヤニヤと笑って不審者扱いされてしまうところだけど、こうして誰かと一緒にいるからこそ、分かち合える話。でも、私の頬はやっと言える嬉しさから緩みきっていて維持することができない。
「佐藤くん、通路挟んだ反対側に座っている女の子の声、聞いた！？」
「声？」
テンションが上がりまくっている私とは反対に、佐藤くんは突然、見知らぬ人の話をはじめた私に一瞬戸惑いながらも、首を振った。
そのことを残念に思いながら、ならば、ぜひとも伝えなくては！と、グッと手に力が入る。
「あのね。聞いたら絶対、びっくりすると思うよ！」
「びっくり？」
「うん。さっき女の子がデザートを注文している後ろを通ったの。
その時に、あまい声が聞こえてきて！！
超ぉー絶っ！ 好みだった！！」
声を小さくしたけれど、興奮を抑えきれず、こぼれる息遣いは荒くなってしまった。
「・・・鈴木さんって、男女関係なく、本当に声が好きなんだね」
佐藤くんは私の興奮さめやらない様子に驚きながら目をパチリとまたたかせて、笑った。
そこで、そう言えば……と気付いた。
心の中で軽く咳払いして、自分を落ち着かせる。
佐藤くんには、説明していませんでしたね。
声オタこと声優オタクの私、鈴木のぞみ。
基本は、男性声優さんがメインで、推し推ししておりますが、女性声優さんも好きなんです。実は。
女性のカッコいい声も、可愛い声も、私の胸を高鳴らせてくれる声なら、男女は関係ありません！
「って、言いたいことは、そんなことでなく！」
走り出す妄想に急ブレーキをかける。
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