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2・まさかの呼び出し!?
「ふわぁ……。うぅ……眠いよー……」
窓からは眩しさを感じる日差しが射し込み、朝の挨拶が飛び交う、活気のある教室で私は今、机に倒れ込んでいる。
今の私は、地球の重力にさえ勝てない。
そんな情けない姿をさらしているからか、愛美の呆れるような声が頭上から降ってくる。
「なにをどうしたら、そうなるの?」
「新作ゲームを……気付けば……2時で……うっ……」
そう。ボイスマスターことボイマスは、スタートキャンペーンをしている。
そのスタートキャンペーンは恐ろしいことに、新作稼働を祝して、活動ポイントという、イベントをプレイするのに必要なポイントが3日間限定で”消費ポイント0《ゼロ》”なので、無限に続けることができる。
「はぁ? 新作ゲームにハマって、寝不足って。……ほんと、オタクの鏡よね」
タダより怖いものはないっていうけど、たしかに時間が知らないうちに溶けていった。
でも、何よりも、ゲーム運営のみなさん。あー! なんて、オタクの心を分かっているの!?
いや、当たり前といえば、当たり前なんだけど。
このオタク心をくすぐる恐ろしい稼働キャンペーンにまんまと乗せらせてプレイした結果、寝不足。
母の騒がしい声にも、モーニングボイスのウィリアムの声でさえ、気づかないぐらい眠り込んでいた。
ウィリアム! ごめんんさい……でも今は、メガネくんを育ててあげたいのっ!
後ろ髪を引かれつつ、二股はできないと、ウィリアムとしばしのお別れをして、メガネくんを応援することに集中している。
これは浮気ではない。純粋なる応援である。うん。
「ーーで、のぞみを今、夢中にしている声は誰なの?」
さすがは良き理解者の愛美。
私の脳内リプレイを見越したかのように、合いの手という質問。
「待ってました。聞いてくれたまえ、この想いっ!!」
「ほんと、スイッチのON・OFFが激しいんだから」
オタクとは、話を聞いて欲しくて仕方がない生き物なのである。
「えへへ。えっとねー。今、推してるゲームは昨日はじめたばっかりの”ボイスマスター”で通称”ボイマス”。
新人声優さんの新人マネージャーとして、私は彼をマネージメントして行くのよ!
それでー、私が選んだのはメガネの委員長キャラでー、担当している声優さんは、これまた同じく新人声優の佐藤ユキっていうんだ!!
新人な故に荒削りなところもあって、滑舌の甘さがちょっときになるっていうか、しかし、ちょっとした表現にグッとくるものがあって、……演技がうまくなりそー!って感じなんよねぇー」
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