ー 3 ー

9/16
前へ
/42ページ
次へ
 次に慶太さんと会えたのは数日後、2人の休みが重なった日だった。  2人で映画を見たり買い物をしたりした後、慶太さんの家へ行った。 「コーヒー飲みたいから、淹れていい? 慶太さんも飲む?」 「うん。欲しいな」 「オッケー」  私はキッチンに行って、コーヒーメーカーに冷蔵庫から取り出したコーヒーの粉や水をセットしてスイッチを入れた。  勝手知ったるなんとやら、だ。  私は結局、今も柴さんという人のことを慶太さんに聞けていない。 (聞くきっかけが掴めないんですけど……。それに、勇気がものすごく必要……っ)  私は溜息をついた。  とりあえず私は、コーヒーができるまでリビングで待つことにした。  リビングのドアを開けると、慶太さんがスマホを片手に立ち上がって、ショルダーバッグを持っていた。 「あれ? 慶太さん、どこか行くの?」  戻ってきたばかりなのに? 「うん。同僚がさ、貸してたリハビリの参考書を返したいんだって。近くにいるらしいから、ちょっと行って受け取ってくる」  ……予感がした。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加