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「それってもしかして、看護師の柴さんって人?」
「うん。……あれ? 柚って柴さん知ってるの? 知り合いだったっけ?」
「知らないけど……」
私は俯いた。そしてぼそっと呟く。
「それって、出勤した時に慶太さんに返せばいいんじゃない?」
「え?」
私は顔を上げて慶太さんを見た。
「あのね、慶太さんと同じ病院に勤めている介護士で、私の大学の友人がいるの」
私は聡のことを伝えた。
「あー、聡ね。あいつ、柚と大学一緒なんだ?」
ふーん、と慶太さんが呟いた。
「慶太さんが柴さんと2人で出掛けたり、2人で街を歩いているのを見たって人が何人もいるって聡に聞いた」
「それは……」
慶太さんが言葉を切って、私をじっと見る。
「柚、俺が浮気してるって思ってる?」
私はぎゅっと手を握って、震える声で言った。
「疑ってるって言うか……。浮気じゃ無いなら、女の人と2人きりで会うってちゃんと教えてほしかった」
「……」
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