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「だって、柴さんって人は慶太さんのことが好きなんだって聡から聞いたし」 「……確かに柴さんにはそう言われたけど、俺には彼女がいるってちゃんと伝えてあるから」 「でも、2人で会ってるって」 「それ多分、院外でやってる勉強会とか研修会に一緒に行った時だよ。あ、でも、職場の人に聞かれたくないからって、ファミレスで飯食いながら悩みを聞いた時はあったな」  私は慶太さんから顔を逸らした。 「悩みって……。どう考えても2人きりで会うための口実じゃない」 「え?」 「柴さんの目的は慶太さんと2人きりで会うことじゃないの? 悩みを聞いてもらうって、言い訳としか思えない」 「……」 「だって、好きな人と会えるのは嬉しいし、私より近くにいれば、いつか慶太さんが自分を好きになってくれるって、きっと思うよ!」  私は慶太さんに抱きついた。 「お願いだから、私を置いて柴さんの所に行かないで……」 「柚……」 「柴さんに、期待させることをしないでよ……」  慶太さんの背中に回した腕にぎゅっと力を込める。  キッチンの方でコーヒーメーカーがコポコポと音を立てていた。
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