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(……そういえば、平原くんの指長いんだなあ)  ノートをトントンと優しく叩く指。  今、私の目の前で頬杖をついている、男の子らしい骨ばった手。 (……って、私何考えてるの!? 集中集中!)  私は覆いかぶさるようにして、参考書を睨みつけた。  ーー1つ気付くと色んな所が気になるものなのかもしれない。  私は平原くんのちょっと仕草や笑顔にドキドキするようになった。  皆への優しい態度もかっこいいなあ、と思うようになっていた。 (私、平原くんが好きみたい……)  そんな自分の想いに気付いてしばらく経った頃だった。  恒例の勉強会の時間に、雨が降りだした。 「あれ? 雨?」 「えー! 私、傘持ってないよぅ」 「俺もー……」 「勉強してるうちに止むといいね」    私たちは窓の外を気にしながら勉強を続けた。
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