犬は穴掘りが好き あるいは、残酷な王女の物語

「お〜い、ダニー！そこで何してるんだ？」
　サッカーボールを持った少年がやって来た。ダニエルは犬を置いて友達とサッカーをすることにした。
（だって、こいつはいつまでたっても穴を掘るのを止めないんだから）
　日が暮れて、友達は家に帰って行った。ダニエルも犬のことなどすっかり忘れて、家に帰ってしまった。

　明(あ)くる朝、教会の寺男が裏庭に行くと、泥まみれの犬がうずくまって眠っていた。寺男が水とソーセージを与えると、犬はガツガツと食べた。そして昨日掘った穴のところに行くと、せっせとまた掘りはじめた。
　教会に捨てられた犬がいるという噂は、すぐに心優しい王女様の耳に入った。