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ダニエルは、まるで最初から犬など飼っていなかったかのように、毎日友達と遊んだ。ある日、ダニエルがサッカーをしようと家を出ると、見たことのない女の子が道ばたで花を摘んでいた。
(学校にはいない子だけど・・・)
少女は立ち上がると,にっこりと微笑んだ。
「こんにちは、ダニー」
ダニエルは不思議に思った。
「君はだれ?どうしてぼくを知っているの?」
女の子は、ダニエルの方に駆け寄った。
「ねえ、遊ぼう?」
ダニエルの頬は真っ赤になった。それくらいその子は可愛かった。だが、ダニエルは女の子と何をして遊んだらいいのかわからなかった。
「何して遊ぶの?」
「目隠し鬼しましょう!」
少女は、シルクのハンカチでダニエルに目隠しをした。きれいな顔がキスできるくらい近づいて、ダニエルの頬はさらに真っ赤になった。
「こっちこっち!」
女の子の声のする方に、ダニエルは両手を前に伸ばしてそろそろと歩いた。
「そっちじゃないわ!こっちこっち!」
少女の声は遠くなったり近くなったり、時にはダニエルの袖を引っ張って向きを変えた。ダニエルが女の子を捕まえようとしても、その手は虚しく空を切り、楽しげな笑い声が耳をくすぐった。
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