ピアニスト

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『それではお次は、ピアニスト天河詩央里(あまかわしおり)さんによるピアノ演奏をお聞きください』 私は名前を呼ばれゆっくりとステージに上がる。 周りからは拍手が起こり、スポットライトが私に集まる。 私は一礼すると、ピアノの前に座った。 鍵盤に手を添え、ゆっくりと鍵盤を叩く。 私は今、高校の時の同級生の結婚式に来ていた。 会場には同級生がちらほらといて、普段の演奏より少し緊張していた。 だが、私には緊張を無くすためのおまじないのようなものがあった。 いや、モノではなくて人がいる。 その人の笑顔を見ると自然と緊張が解れ、のびのびとピアノを弾くことができる。 パチパチパチパチ… 演奏を終えると大きな拍手が起こった。 私は一礼すると降壇した。 顔をあげた時、ほんの少しだけ彼の顔が見えた。 彼は笑顔を浮かべ拍手をしていた。 その顔を見たとき、私も自然と笑っていた。 翔「お疲れ、詩央里」 詩「ありがとう、翔」 私に話しかけてきたのは、さっき言っていた人物。 名前は黒野翔(くろのかける)。 高校の頃からの親友だ。 彼は調律師で、私のピアノの調律を良くしてる。 調律師の世界の中ではそれなりに話題になっているらしい。 翔「どうだった? ピアノの調子」 詩「自分で調律したんだから分かってるでしょ?」 翔「実際に弾いてる人が満足してないと不安なんだよ」 詩「…大丈夫。ちゃんと良い音だったよ」 翔「そっか。良かった」 翔はそう言って笑った。 彼の笑顔を見て私も笑みがこぼれた。

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