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本棚に追加『それではお次は、ピアニスト天河詩央里(あまかわしおり)さんによるピアノ演奏をお聞きください』
私は名前を呼ばれゆっくりとステージに上がる。
周りからは拍手が起こり、スポットライトが私に集まる。
私は一礼すると、ピアノの前に座った。
鍵盤に手を添え、ゆっくりと鍵盤を叩く。
私は今、高校の時の同級生の結婚式に来ていた。
会場には同級生がちらほらといて、普段の演奏より少し緊張していた。
だが、私には緊張を無くすためのおまじないのようなものがあった。
いや、モノではなくて人がいる。
その人の笑顔を見ると自然と緊張が解れ、のびのびとピアノを弾くことができる。
パチパチパチパチ…
演奏を終えると大きな拍手が起こった。
私は一礼すると降壇した。
顔をあげた時、ほんの少しだけ彼の顔が見えた。
彼は笑顔を浮かべ拍手をしていた。
その顔を見たとき、私も自然と笑っていた。
翔「お疲れ、詩央里」
詩「ありがとう、翔」
私に話しかけてきたのは、さっき言っていた人物。
名前は黒野翔(くろのかける)。
高校の頃からの親友だ。
彼は調律師で、私のピアノの調律を良くしてる。
調律師の世界の中ではそれなりに話題になっているらしい。
翔「どうだった? ピアノの調子」
詩「自分で調律したんだから分かってるでしょ?」
翔「実際に弾いてる人が満足してないと不安なんだよ」
詩「…大丈夫。ちゃんと良い音だったよ」
翔「そっか。良かった」
翔はそう言って笑った。
彼の笑顔を見て私も笑みがこぼれた。

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