ハネムーン

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   彼女にだだをこねられたのは、付き合ってからはじめてのことだった。  活発だが堅実な彼女から何かをねだられたことはなく、今まで贈ってきたプレゼントは素直によろこんでくれていた。  そんな彼女の初めてのわがままは、彼女からの贈り物を受け取れというものだった。  小さな箱を開けると、そこにはふたつのマリッジリングと、折りたたまれた婚姻届が入っていた。  俺の余命が、あとひと月と分かった翌週のことだった。
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