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奇跡
スイカ
駅のホームで探し物をしていた。
初めて恋をしてしまった人だ。私はあまり恋愛には、興味はなかったが目の前にひょっこ彼が現れるに違いないとなぜか思っていた。
あれは、2011年3月11日。
電気も水も止まり全てのライフラインが止まった。
食料も届かない。お金が有る 無し関係なく品薄の状態であった。
ガソリンスタンドにも列が出来た。
家の近くのガソリンスタンドも例外になく通行できない位の混み具合だった。
不便な生活から約1.2ヶ月一番復旧が遅かった電気が10日後に急に付いて驚いた。
こんな不便な生活は誰にとっても初めての経験だったと思う。
震災から7ヶ月、徐々に生活も元に戻ってきた頃(妖怪人間ベム)が、放送された。
最初は、エグいと思いながらも見ていた。
平和を願いながら人間になりたい。という切なる思いに不自由な生活をしていたベム。
その時、私の脳裏にふっと震災の不便だった日が重なった。
気がつくとベムの事が気になって気になって仕方がなかった。
それから始まった私のルーティン。
1日の始まりはまず雑誌を広げて並べる。
そして雑誌に向かって「行ってきます」「ただいま」の声掛け。
カップルや家族みたいな感じ、家族に「おはよう」と挨拶し、寝るときは「おやすみ」と挨拶するごく自然なそのような事だ。その毎日が嬉しかった。
そう、どうやら私はベムに興味があったのではなく、その役を上手く演じていた亀ちゃんを好きになっていたらしい。気がつくとハイフン(KAT-TUN)ファンになっていて雑誌等もすべて買っていた。
グッズ関連も今までいくら位買ったのか想像つかないが私の小遣いすべてを費やしたのは確かだ。
気が向いたら計算してみよう。有言実行と良く聞くが、私には、有口無行の性格。
やるよ~と言っても一休憩ばかりだと思う。
亀ちゃん愛から3年で、他の人に気持ちが移った。でも嫌いにはなってはいない。丁度反抗期で、不良系の人が好きになってしまったのだ。
あげくのはてには、ギャルになってしまった。
2021年ベムから10年目の春、久しぶりに亀ちゃんの缶バッジをポーチに付けた。
数ヵ月後、バッジが無くなってるのに気が付き悲しい気持ちであったが、数日後通学バッグを整理しているとアルミの様な丸い物がバッグの中の下にあって恐る恐る見てみると無くしたはずのしたはずの缶バッジだった。
急に嬉しくなった。
一生懸命探したり、両親に頼んで探してもらったりした時は、見つからないのにこんなこともあるなんて
今回は、運が良かった。
次の奇跡は、いつ起こるのだろうか。
もしかしたら明日かも知れない・・・。
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