第一章 開幕

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ぴちゃ。ぴちゃ。  赤い雫を滴らせ、少年は赤い水溜まりの上を歩いていく。辺りには元々人間だった肉片が落ちていた。それを避けることもせず、踏みつけ歩き続ける少年。身につけていた服は争った際に首元が伸びてしまい、肩からずれ落ちてしまっていた。肌には無数の傷。彼自身からも赤い雫は落ちているが、少年はそれらを一切気にせずただ進む。その先には、一筋の光。ああ、やっと。  少年の目から暖かい雫が落ちていく。そして重い扉を押すように開けると、目の前には青い空が広がった。 やっと。やっと。 「……待ってて」 きっと、行くから。
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