第三章 生徒会

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 しまった。まさかこうなるとは。 校門に入ってから気付いてしまった。ほとんど全生徒が竜也を見ている。 生徒会に入るとは、こういう事なのだ。 あの奇妙なグループに、それもこんな地味な生徒が入るなんて。 そりゃこんなに目立つに決まっていた。  ああ、俺の穏やかなスクールライフが。 「おはようございます」  背後から声が聞こえて振り返るとそこにはシエが立っていた。シエは竜也に近付くとその手を取ってそそくさと歩いていく。 「えっちょ、会長……」 「気にすることありません。そのうち慣れますよ!」  なんてこと言って笑ってみせるシエを見て、竜也は不思議と心が落ち着くような気がした。  癒し系とはこの事なのか。関わるまではシエはただ怖い生徒会長だったのに、いざ関わってみればただの女の子な訳で。  なんだ。所詮ただの噂だったな。 知った者にしか分からないだろうが、生徒会は高校生だった。  それを離れた所から見る、一人の男子高生。 持っていた鞄を落としその二人の背を睨みつける。 「ふざけるな……ふざけるなよ……」  一緒に居た女子高生はその鞄を拾い両手で抱えた。 「あの子が例の」  そして口角を上げ、目を細める。 「これから楽しみだね!」
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