彼との再会

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ハァ...よく眠れなかった 出社するのが億劫 そんなこと言ってたらダメだ なんのために気持ちを切り替えて 特別顧客担当秘書になったの 私は...仕事に生きるって決めたんだから 賢斗がいたって平気 賢斗と普通に顔を合せられる 賢斗と一緒に仕事... 賢斗と 賢斗と 賢斗... ハァ...やっぱり溜息 エレベーターが最上階につかなければ いいのに... チン 「おはようございます」 「おは...ぁ...」 途中階から乗り込んできたのは 「おはよう、梨花」 「ぁ...おはようございます。」 「なんだよそれ」 「え、いや...おはよう、中谷くん」 「ボソ...中谷くんか...」 「今日から出社?」 「うん、やることあるからね。仲村専務は明日から出社だけど」 「そか...あのさ、梨花...」 チン 「今日からよろしくね、中谷くん」 私はそれだけ言うのが限界だった 小走りにエレベーターを降り 化粧室に駆け込んだ どうしよう 普通になんて 冷静になんて出来ない 賢斗...かわってなかったな 2年じゃそんなにかわんないか 私だけが こんなドキドキしてるのかな 仕事...持ち帰りにして 帰ろう! そうしよう 後で三嶋さんに電話して 明日から出社すると伝えよう 化粧室からキョロキョロと辺りを見渡して 急いでエレベーターホールへ 背後から 「あ、いたいた!梨花ちゃん」 振り返ると 「おはようございます、真理亜さん」 「どうしたの?今日から出社でしょ?さっき中谷くんに梨花ちゃんと一緒だったって聞いたのに...全然こないから」 「あ、あの...ちょっと具合が悪くなってきて...今日は帰ろうかと...」 「え?大丈夫?」 「はい...だから...三嶋さんに...」 真理亜さんは私の言葉を聞く間もなく 「誰か~!あ、中谷く~ん!」 「中川さん、どうしました?」 部屋から賢斗が顔を出した 「梨花ちゃんが具合悪いみたいだから、医務室に...」 「だ、大丈夫です...」 「帰ろうとしてるぐらいなんでしょ?ダメよ!帰る途中に何かあったら...まず、医務室にね!」 「いや、だから...そんな...」 「中谷く~ん!ほら!」 「あ、はい!」 「いや、ほんとに...キャッ...」 何故...私...賢斗にお姫さま抱っこされてるの? え、いや、ほんとに...嘘! 「賢斗!降ろして!大丈夫だから」 「ダメだ!無理するからすぐに...梨花は」 到着したエレベーターにそのまま乗り込んだ
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