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彼との再会
出張先から確認したいことがあって
特別顧客担当室に電話をかけた
びっくりした...
何か言いかけていたけど
慌てて電話を切った
賢斗...
2年ぶりに耳にした彼の声
「梨花」
そう呼ばれて
胸の奥がキュンとした
ダメダメ
もう彼とは終わったんだもん
会いたがってるって聞いたけど
きっと懐かしく思ってるだけ
忘れられなかったとか
嘘だもん
私はホテルから美帆に電話をかけた
「どうしたの?まだ出張中じゃなかった?」
「うん...あのね...」
賢斗と電話で話したこと
自分の気持ちが揺れていること
美帆に聞いてもらった
「ん~私は中谷くんと直接話してないから解んないとこもあるけど...」
「そうだよね」
「でも品川くんの話だと、本当に中谷くんは梨花を探していたみたいよ」
「え?」
「梨花が企画課から異動になってからのことはわかんなかったみたい」
「うん...」
「特別顧客担当室なんて、普通なかなか関係ないからね...各部署で関わる人も部長クラスだし...」
「まあね...私も自分がなるまで知らなかったし...」
「そうだよね。だから品川くんに探して欲しい!って言ってたんだって」
「そか...」
「品川くんは、たぶん青木常務の昇進のことは梨花も知ってるだろうから、中谷くんのこともすぐに知ることになるでしょ?そうなる前に梨花に伝えた方がいいと思って、こないだ話したみたいよ」
「うん...先に教えてもらってて良かった。けど、今日はびっくりして...」
「ねぇ、梨花...中谷くんのこと...まだ...」
「......忘れられないの...」
「だよね」
「でも...ダメだよ。私は賢斗に必要とされてないんだもん」
「なにそれ」
「だってそうでしょ?北海道に連れて行ってはもらえなかった」
「違うと思うけど...」
「なんで?」
違うの?
私が一緒じゃ
賢斗の仕事の邪魔になるから
だよね?
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