こちら異世界転生受付窓口ですが、二十四時間働くのは無理なのでいい加減お休みを下さい。

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 ちなみに課長はいい歳のくたびれたオッサンである、念のため。  でもって俺もクボタもオトコである、念のため。 「神様たちも、役所の態勢に無関心すぎてちっとも法整備してくんねーからなあ……」  五年務めた役所だが、とっくの昔にやめたい気持ちでいっぱいになっている。それができないのは、役所をやめた後で再び“待機所”に戻るのが嫌だからだった。  役所をやめたところで“業”が加算されるようなことはないはずだが、それでも転生者達の現状や裏話を知ってしまっている者としては、素直に自分達も次の人生に行きますとは言えないのである。  転生先ガチャに失敗して、悲惨なことになる転生者も少なくない。悲しいかな、知らなくてもいい現実を、自分達は多く見てしまっているのである。 「だがしかし、休みはほしいです。切実に」 「激しく同意」  それでも。俺はもう四十八歳。役所勤めの職員は前世の記憶も年齢も引き継いでいるので、四十三歳で死んでからそのまま加算される形で年を重ねている。他人に搾取されない新しい人生を始めてもいいのではないか、なんてことを少し考え始めているのは事実だ。 「仕事投げっぱなしで、労働者の安全や生活をまったく顧みない神様たちに、ギャフンと言わせてやりたいです先輩。少なくとも、神様たちの“自分達の世界の問題を、無理やりぶっ殺して連れてきた異世界転生者達にチート能力で強引に解決させる”って所業だけでもやめさせられれば……だいぶ仕事、楽になると思うんですよね。そのための無茶すぎる締切とルール無視しまくりの強引すぎる手続きが全部まるっとなくなるわけで。……少なくとも上に有給握りつぶされることは減るんじゃないかなあって」 「そうだな。……神様たちは、俺らの仕事を軽視しすぎだ。俺らがいなかったら、役所も異世界転生も回っていかないってのによ」 「でしょ?」  だから思い知らせてやりません?と。クボタはニヤリ、とさながら勇者の前に立ちはだかる魔王のような笑みを浮かべて言ったのだった。 「僕等が本気になったらどんだけ怖いか、どんだけ困るか、思い知らせてやりましょーよ」  そして話を聴いた俺は、呆れ半分感心半分で頷いたのだった。 「おま……すげーな」  この役所に入って、たったの一年の新人職員クボタは。どうやら俺が思っていたよりずっと、肝が据わった男であったようだ。
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