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「え? なんですか? すみません、男性に別れのキスをするのはさすがにちょっと……」
「違う!! 誰がいつ接吻をせがんだ!! そうじゃない、あの娘のことだ!!」
「?」
ルロちゃんに硬貨の入った袋を渡し「少し待っててね」と言って再度ご老人に向き直ると、彼女に聞こえないよう配慮してくれているのか声を潜めてこう言った。
「エルフの娘を連れて歩くと、目をつける連中もいる。勿論、攫って高値で売り飛ばそうと目論む輩も大勢のう。気をつけるんじゃぞ」
「あっ、それは大丈夫です! ルロちゃんを狙う奴は女子供以外みんな氷像にすると決めているので!!」
「うおっ、爽やかな顔で言うな! 驚いたじゃろうが!! まあ……君なら大丈夫そうじゃな。良い旅を」
そして俺は、ルロちゃんにおやつの菓子パンとジュースを買ってあげてから次の目的地へ足を進めた――……。
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