うちの「我が家」が結婚しました、名前はタツルです。AIの新居で揉めてます。

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朝はエプロン付けて朝食作ってくれて、職場におしゃれな車で送り迎えしてくれて、夕方ちょこっとだけ雨に濡れる海で感傷に浸らせてくれて、辛い思いでを慰めてくれたら、夜だけは別々の寝室で朝までゆっくり寝かせてくれる人。 そんな贅沢な条件の男性、望んでます。 こっちはスタイルとか、ルックスとか、まあそれ程の物じゃないけど、まあまあの条件よって、言ってみたい。 あれね、いきなり手とか肩とか触ってくるは無し、苦手暑苦しいの。 電車で反対側のホーム、朝行きかう電車、通り過ぎて行く電車を目で追ってると、ふっと目が合うの。 しばらくじっとして、風で持っていた書類とかが「バサッて」舞い散って、慌てて拾ってたら、ホームから落ちて二人で転んで、笑いあって。 と、、、 あああ! 母保保江さんの韓流ドラマの付き合いしてたら、影響されて脳内に記憶を埋め込まれてた! んな、ご都合主義の出会い展開あるか!って、それでものちょびっとの妄想してみようかなってやってたら、寝るのを失敗した。 中途半端な睡眠時間で、月曜の朝を迎え、どうにも調子が出ない。 仕方ない、、、と、ここ東京は東と北のはずれ「村村山市」の駅から徒歩12分の3LDK二階建ての一軒家。 二階の部屋から一階のトイレへと降りようとした、、、 んが? 出たよ、、、 窓から「土ー間が見えるわ!」 わー素敵!なんて綺麗な街並みなの、、、言ってて虚しくなる。 でも、誰か信じてくれるのかな、心優しい人は居るのかしら? 「あら結菜おはよう、早いわね月曜なのに」 母、逸尾保保江(ソレオホホエ)さんは、消えたダイニングで平然と「エア朝食中」をこなし、韓流ドラマ再放送を見てる風だ。 さすがだ、「母は強し」。 消滅したダイニング、もはや基礎とかコンクリが見えてるのに、一切動じない!この安定感が欲しい、私は! 「あ、なががががん、、、」 それに比べて、父、千駄郎(せんだろう)、弱えー。 トイレのスリッパ履いたまま、ダイニング入口直前で固まってる。中に入る根性はないのか、一家の大黒柱だぞ、父! 大体原因は父だぞ。 と、指差し確認で指摘したいけど、今は置いておく。だって、「ダイニング」が「消失」してるんだから! それと言うのも、先月付けた「自立試練成長人口知能搭載型火災保険スーパータツル」のせいだ。 契約変更のついでに「人工知能」追加する保険ってあるの? 保険加入のサービスで「ジェットホバリング機能」とか付いて、気が付きゃ浮いたり、家出したりするし迷惑しかない。 警察からは「免許無いからダメ!」の一言、どんな免許必要ですかね。 とにかく、眠くて堪らない、月曜朝からこんな間抜けな目に合ったら、一週間祟られる。体調悪くするよ、土間いや家の基礎部分で朝食とるんだから! 家の壁から警告音が鳴り響く。 「まもなく通常状態に戻ります」 通常?もう突っ込むのは止めよう!いつもの事だ、諦めて慣れよう我が家だし。 私は天を仰いだ、そして上空から8畳の我が家のダイニングが降ってきた。 で、自宅を浮かす装置はどうなってるの、とはツッコまないで、そういう世界観だから、うちは。 こうして月曜の朝から「ダイニングの朝帰り」で問題は拡大していった。 「ただいま戻りました、タツルです」 なあ、タツルよ、お前火災保険だろ、家のどこからどこまでが「タツル」なんだ?
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