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あれは一体何だったんだろう?その日の夜、今日起きたことが頭の中を回遊する。歩の恋話に付き合って、いつの間にか励まされたり、歩の色恋事に捲き込まれそうになったり……その上、兵藤さんに絡まれ、暫くなかった男性コミュ症に陥るし……何て一日だったんだろう。
少し熱めのバスタブに顎まで浸かり、目を閉じてジッと思い返し考える。
考える。考える。考えに考える……けど結局何も分からないままだった。今日一日を終えてからのモヤモヤしたモノの正体は何?
ただでさえ長湯なのに、そんな考え事をしていたものだから、浸かりながらチラリと見た浴室の鏡に映る顔は真っ赤になっていた。
その鏡の中の顔がまた昼間の出来事を思い起こさせ、正体不明のモヤモヤが七海の心を揺さぶる。
「七海、もういい加減に上がりなさい。また湯中りするわよ」
母の言葉に、七海は湯中りを避けられた。こうして母はまるで見ているかの様にいつも七海を湯中りから救ってくれる。
『さすが母親だわ。いつもタイミングが絶妙だなぁ』
長湯の所為か七海はベッドに横になるとすぐに眠りに落ちた。
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