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何故そんなことになっているのか?元々が『超』が付くほどのな上に幼い頃のトラウマが身も心も男を遠ざけ続けて現在に至っているから。 そんな七海が真面(まとも)に付き合える唯一の存在が神成歩(かんなりあゆむ)だった。 神成歩は七海より一つ年下、家が近所の幼馴染みで、七海の会社が入る高層ビルの三十二階にある広告会社の新入社員。 男性拒否症?の七海が接することが出来るのは、幼馴染みで付き合いが長い所為(せい)もあるが、ではない。その理由は歩が他と違うからだった。 その日の昼十二時、自分より五年先輩の佐伯笑子(さえきえみこ)から頼まれたデザイン校正を終えて一息吐いた時のこと。 「音無さん、お疲れ。午前中、目一杯時間使わせちゃったね」 「いえ、こちらこそ。時間掛かってしまって、すみません」互いに笑みと小さな溜息を溢した。 「あ、もうお昼ね。音無さん、一緒にどう?」佐伯が七海に声を掛けたちょうどその時、七海は自分の名前が呼ばれていることに気が付いた。 「音無さん、いる?お客さん来てるよ」 この時間、タイミングで訪ねてくる人物なんて一人しか思い当たらない。 入口のドアを開くと予想通り。神成歩がランチボックス用のトートバッグを二つ抱えて立っていた。 「なみちゃん、お昼食べようよ。二人分作ってきたから」
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