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「自分に嘘を言い続けることは出来ないでしょ?歩は私が持ってないもの沢山持ってるんだし……自分に自信持たないと勿体無いよ。私と違って」 「なみちゃん、自分に自信無いの?なみちゃんだって、可愛いいんだし、一歩踏み出そうよ。ガンバ。ガンバ」 歩の馬鹿にしているのか、勇気付けてくれてるのか分からない言葉に七海は苦笑いを浮かべた。 『歩はずっと昔からいつもこうだ……真っ白なくらい素直』七海が言い出せない一言を歩は素で切り出せる。七海はそんな歩を時に羨ましく、時にハラハラしながら見守ってきた。 「歩は……変わらないね」 「うん。変わらない。……え?ひょっとして僕のこと馬鹿にしてない?」 「してない、してないって。歩みたいになれたらなぁって思ってるもの」 「じゃあ、僕が課長と付き合ったりしたら、なみちゃんも頑張って彼氏作る?」 歩の突拍子も無い話に七海は大きく顔を左右に振る。 「それとこれは違うでしょ。……全く、何考えて……」 「だって僕だけが幸せになる訳にはいかないじゃない?僕の幸せを応援してくれるなみちゃんにも幸せになって欲しくてさ」 『幸せか……私にとっての幸せって何だろ?』 今まで考えていなかった――と言うより考えないように避けていたその二文字が七海の心を少しだけ揺さぶり始めていた。
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