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エンジョイ高校生活
高校生活は楽しかった。大樹がいないというだけで、解放感いっぱい。私、大樹のことそんなに好きでもなかったんだって、安心した。
これまでは同じ学校という強制的な枠の中で、磁石の同じ極が反発しあうように、外枠ギリギリに互いの平行線を描いていたと思う。その枠が外れたおかげで、平行線はどんどん離れていった。
友達と、カッコイイ先輩を見ては、ワァーワァと騒ぐこともできた。ボーイフレンドもできた。スポーツクラブにも入部して、真黒になるまで練習した。
こういうのが、正しいJKの生活だよ。私のJC生活は異常だったんだ。
でも、あまりにも辛い日々が続いたせいで、唐突に私の前から障害物が取り除かれた反動で、どこか寂しい思いが見え隠れする。
家路を急ぐ中で、大樹の家の付近になると、複雑な感情が湧きあがる。その姿を探している自分が情けなくもあった。それに、相変らずあの夢からは解放されていなかった。
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