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志乃ちゃんと一緒に飲んだ数ヶ月後、週末を利用して久しぶりに実家に帰った。
「志乃ちゃんの結婚式の写真、見る?」と母がスマートホンを差し出してきた。そうだ、私の両親は志乃ちゃんの結婚式に招待されたんだっけ、と今更のように思いだす。
「志乃ちゃん綺麗だった?」
「そりゃもう、とっても綺麗な花嫁さんでさ。新郎さんはぽーっと見惚れてたわよ」
「新郎さんってどんな感じの人?」
「んー、そうね、おとなしそうで真面目な人だったな。志乃ちゃん、いい人つかまえたわよね、あんたも早くいい話聞かせなさいよ」
母の言うことにはいはいと適当に返事をし、スマートホンの写真を見る。志乃ちゃんはデコルテラインが大きく開いたウェディングドレスを着ていて、とても幸せそうに笑っていた。
「これが新郎さん?」
「そうよ」
タキシードを着て、緊張の面持ちで直立不動、という感じで志乃ちゃんの横に立っている男性を示す。
確かに一見おとなしそうで、少し頼りなげな印象もある。
でも、それはきっと上辺だけの姿だ。彼は、見えるところにキスマークをつけたり、夜の外出に渋い顔をするなど、支配的な一面を見せるんだ。それを私の両親は知らないし、今後も知ることはないだろう。
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