1 灰色の日々

9/13
前へ
/84ページ
次へ
歩道から階段を上がると一階のおばさんに忠告された。 「先輩」が来ているらしい。 集合郵便受けは特に郵便物がたまっていたりしなかった。 二階の自室の前に立つ。 ベルのボタンに手が触れて、考え直す。 怒られそうだが此処は自分の部屋だった。 レトロな鍵穴に鍵を入れ、回す。 誰にも何も言われず、中へ踏み込む。 天気も良く暖かい日だが、窓は締めているようだった。 ブラインドで遮光していて薄暗い。 電灯も、昼間だからかついていなかった。 寝室から唸るような、多分、「声」が聞こえた。 ベッドにだれか縛られていた。 ――正視出来ず踵を返す。 「何だ、神経細いな」 「先輩」が立っていた。 「お帰り、ライズ君」 「先輩」、が睥睨な目で見据えてきた。 睨み合いになる。 「救急、手配しましょうか?」
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加