2人が本棚に入れています
本棚に追加
この星の星座は知らない。
母星が何処に在るのかも判らない。
地続きでも、何所へも行くところが無い。
住居は賃貸のマンション。
三階の奥、廊下の左手の部屋。
電子ではなく実体鍵式のドアを開ける。
「ただいま」
と言って、返事をする者は誰もいない。
買ってきた食料をテーブルの上に置く。
「ふぅ」
椅子に座って背もたれる。
一呼吸おいて食料を大きめの冷蔵庫に詰め込み出す。
テレビのスイッチを入れた。
備え付けで、変に古めかしい。
テレビが午後九時の時報を鳴らす。
ニュース番組のキャスターが挨拶をした。
チャンネルを変える。
奴隷になった実感はない。
通信機も持っている。
……だが無力だった。
最初のコメントを投稿しよう!