1 灰色の日々

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この星の星座は知らない。 母星が何処に在るのかも判らない。 地続きでも、何所へも行くところが無い。 住居は賃貸のマンション。 三階の奥、廊下の左手の部屋。 電子ではなく実体鍵式のドアを開ける。 「ただいま」 と言って、返事をする者は誰もいない。 買ってきた食料をテーブルの上に置く。 「ふぅ」 椅子に座って背もたれる。 一呼吸おいて食料を大きめの冷蔵庫に詰め込み出す。 テレビのスイッチを入れた。 備え付けで、変に古めかしい。 テレビが午後九時の時報を鳴らす。 ニュース番組のキャスターが挨拶をした。 チャンネルを変える。 奴隷になった実感はない。 通信機も持っている。 ……だが無力だった。
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