1 灰色の日々

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「おはようございます」 「今日は日勤?エドガー」 「朝が早かったので」 事務所の時計は未だ、午前八時前。 会社では無いので朝礼等はない。 白っぽい朝の光が室内に差し込んでデスクを照らしている。 少し光がきついのでブラインドを閉める。 事務所付きの管理人がコーヒーを入れてくれた。 「飲み過ぎ?」 砂糖とミルクを遠慮したら悟られてしまった。 「手を出すと怒られるわよ」 「でしょうね」 コーヒーを飲みながらアリス・ドリアンのプロファイルを眺める。 過去の経歴が物語のように抹消済み。 偽装されたプロファイルには所属が記されているだけだった。 「第二の人生か」 笑うに笑えなかった。 事務所に来客のブザー。 こんな早くから珍しい。 「エドガー、来客よ」
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