1 灰色の日々

6/13

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/84ページ
事務所に通せなかったので早朝の喫茶店。 飲みすぎたと言ったら連れてこられた。 ブレンドは苦めだった。 「お前、部屋に帰ってないだろ?」 「ちょっと事情が」 「他人にゃ渡せないから」 そう言ってバートは鞄から小箱を取り出した。 「何かな」 「鈍いな。フィンからだよ」 「ありがとう」 受け取ってポケットにしまう。 「エドには刺激が強いだろう、てさ」 早朝から出勤するでもなく私服の二人。 バートはパープルのパーカーにブルージーンズ。長めの髪が。 コーヒーに口をつけると、鞄から紙巻き煙草を取り出す。 「紙巻きはまずくないか」「どうせ御禁制の品だ。」 他の客席からも疎らに煙は上っていた。 「どう、仕事?」 「慣れてきたよ」 「馴染んじまう前に、戻らんか?」
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加