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スイッチを切る。
立体映像が消失する。
バートの言葉を思い出す。
「本当に辞めるとは思ってなかった」
「二十歳も超えたし」
バートはたばこを深く吸って黙り込んでしまった。
冗談のつもりだったが通じなかったらしい。
窓の外、通勤ラッシュもそろそろ終わり。
「開けた穴、結構大きいよ」
バートは灰皿でたばこを消す。
そして顔を上げ、まっすぐ目を見て言った。
「忘れんなよ、フィンのこと」
念入りに再生機の履歴を確かめる。
ブースの扉を開け廊下に出る。
ドリンクコーナーでレモネードを汲む。
立ちながら溢さないように啜る。
雑誌コーナーのグラビアが目を引いた。
休日まであと二日。
二週間ぶりだが部屋に戻って見よう。
連絡は、したものかどうか。
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