1 灰色の日々

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スイッチを切る。 立体映像が消失する。 バートの言葉を思い出す。 「本当に辞めるとは思ってなかった」 「二十歳も超えたし」 バートはたばこを深く吸って黙り込んでしまった。 冗談のつもりだったが通じなかったらしい。 窓の外、通勤ラッシュもそろそろ終わり。 「開けた穴、結構大きいよ」 バートは灰皿でたばこを消す。 そして顔を上げ、まっすぐ目を見て言った。 「忘れんなよ、フィンのこと」 念入りに再生機の履歴を確かめる。 ブースの扉を開け廊下に出る。 ドリンクコーナーでレモネードを汲む。 立ちながら溢さないように啜る。 雑誌コーナーのグラビアが目を引いた。 休日まであと二日。 二週間ぶりだが部屋に戻って見よう。 連絡は、したものかどうか。
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