天秤と鎌と魔眼

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『僕は今、"ある計画"を練っているんです。それは日本…いや世界を絶望に叩き落とせる程の威力がある計画です。この計画には、琴葉さんがどうしても必要なんですよ。協力、してくれませんか?』 この言葉を(かなめ)に言われてから、半年の月日が流れた。2030年、3月。あと2か月程で隼人さんに拾われてから1年が経つ。私は9月で17歳を迎え、隼人さんは今月の28日で27歳になる…らしい。 長いようで短いような、そんな月日の流れだった。 とはいえ、私と隼人さんは交際している。だけれど、『それらしい』と言える事は殆どして居なかった。ハグとかキスはあっても"それ以上"は無いし、それ以前にそれらに愛と呼べる物があるのかすら、怪しい。彼は大人だし、私のヘンテコな告白に、付き合ってくれているだけかもしれない。 やっぱり、私が拾われた理由としての『枢への復讐を遂げたい』というものが強く関連している。私を利用して離すまいとする感情で、私が運良く告白をしたから好都合だった…と考えてしまう。 そんな事を食料品が入った袋を持ちながら考えていた。 只今、お使い中なのである。
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