天秤と鎌と魔眼

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メモ帳に書かれた食料品の文字列をただ買うだけの作業。お釣りは私が貰って良いとの事だった。子供扱いされている気がして、少しばかり腹立たしくなる。 ご近所にある大型スーパーで買い物を済ませ、レジ袋片手に自宅までの道を歩く。春の訪れを感じるこの季節でも少しだけ寒く、黒の猫耳パーカーにジーンズという私が選んで購入したラフな格好。歩道に薄らと積もる雪を、薄茶のムートンブーツで踏み締める。髪は短いまま…枢に切られた時と同じぐらいの長さのままで、首筋がスースーしていた。 引き戸のような門も閉め、自宅の方のドアを開けようとした時 ピピピ…ピピピ…ピピピ… 郵便受けから軽やかな電子音が聞こえてきた。左手で郵便受けを開けると、中には見た事も無いスマートフォンが入っていた。液晶画面には非通知の文字があり、正直出たくは無かったがゆっくりと耳に当てる。 「……もしもし」 『お久しぶりです、琴葉さん。半年ぶりですね』 気持ち悪い程の優しく甘い声は、相変わらずだった。 「枢さん」
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