咲う鬼嫁

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 その妹が病気になったのは私が十八、妹が十三の年でした。  最初はただの風邪だと思ったんですけど、病状は一向に良くならなくて。逆に具合はどんどん悪くなっていきました。  やっと重い病気なんじゃないかと思い至った時には、妹はもう十分に歩くことすらできなくなっていました。  なんて病気だったかしら。  難しいことは私には分かりません。  お医者様に診せたかったけど、お金なんて持っていなかったし、叔母さん達が出してくれるはずもなかった。邪魔者だもの。これでいなくなったらせいせいする、とか思っていたかもしれません……というのは言い過ぎかしら。  私は山で採ってきた花や果実を寝込んでいる妹の枕元に置いて、頭を撫でてやるくらいしかできなかった。  悔しかったですよ。情けなかったですよ。  こんな役立たずの姉なら、いなくたってかわりゃしない。  そんな折でした。私に縁談が持ち込まれたのは。
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