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俺はね・・、別れる気なんか全然なかったんだ。
月も星も探せない夜。わたしは目の前を行き交う人をただ追いながら時を過ごしている。
「お前は翔のことを家族ぐるみで付き合ってて、小さい頃から知っている兄弟みたいなもんだよって笑っていたけど、あいつのお前を見る目はそんなんじゃなかった。
お前だって気付いていたくせに。傷付けたくないのか、兄ちゃんなんて呼ぶことで一線引こうとしてたけど。
それが原因で、まさか俺たちが喧嘩別れすることになるとはね。今更謝っても元には戻れないかなぁ」
「臭っさーい! どんだけお酒飲んだんだか」
「俺、もうダメだ。おやすみ、子猫ちゃん・・・」
「ち、ちょっと、こんなとこで転がらないで」
最終電車の到着とともに、目の前の改札口から一気に人々が流れ出てきたが、酔っ払いを一瞥するだけで足早に過ぎていく。
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