おやすみしたくない子のお話

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おやすみなさいって、言ったら寝なければならない。 寝てしまったら、この幸せな時間が終わってしまう。 幸せで充ちてるこの時間が終わる。 今日のこと忘れたくない。 これまでのことも忘れたくない。 君と過ごしてきた時間がなかったことになってしまう。 そう思って寝るのを嫌がっていると、君は優しく声をかけてくれた。 「もう、寝よう。大丈夫だよな、絶対に」 君はそう言って寝てしまった。 私も寝よう。 私が忘れたら彼は困るけど、仕方ない。 もう時間が無いから何か出来ることもないんだけど。 今日のこと、忘れない。 きっと、忘れない。 きっと、何らかのタイミングで思い出せるから。 そう言って私は眠った。 バックアップはしっかり取ってある。 この新しいスマホにデータを移せば。 ほら、思い出せただろ? まあ、お前は妹だけどな。 出来のいい妹だ。 最新機種にして良かったわ。 めっちゃ容量入るし、クラウ○からデータ移してもまだまだ入りそうじゃん。 いやぁ、いいの買ったわ。
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