3-16.猫娘と猫の集会

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『あっ、ハッパザン様もいる!』 『封水の術だ! すごい!』  河童のたちの集団には池助と河平太、 『にゃぁ〜、尾煎さまご乱心だよぉ〜……』  全身に草を纏った化け猫祭太(さいだ)。  見知った顔以だけではない。  例えば空には山伏の格好をした妖━━天狗や、まるで龍のように飛ぶ大きな白い布━━一反木綿、空飛ぶ車輪にオヤジ顔が浮かぶ輪入道。 『姫のお呼ばれじゃ!』『うう〜生乾き……乾燥機欲しい』『あーっハッハッハッ!!』  ろくろ首、一つ目小僧、提灯お化け、豆腐小僧。 『押すない首が絡まるろう』『コレってナンのマツリなの?』『ひゅ〜どろろろろぉ〜』『豆腐……トーフを、…』  まだまだ。  翁の面を被った猿のような者、手と足が逆向きについていて後歩きしている者、頭が縦方向に5メートル以上長い者、割れた茶碗が集まってアメーバのように動いている者、パッと見ただけでは人間にしか見えない者や、羽虫の大群などなど。  もはやそれが妖なのか神さまなのかの判別は困難。  ぞろぞろ。  ぞろぞろ。  それらが開放された出入り口より行列を成して行進している。 『アッハッハッハ!』『煩いんだよ!』『れ、とは?』『アブラさシてくレよ』『ぶんぶんぐないとー』『人の臭いするがや』『タマキのヤツは居ねえか』『ご乱心の尾煎さまもね』『サラビダママなママナラヒビニェエ』『冗談よぉ〜さも怒んなね』『あい候、傷み候』『キョウバいいなぁ面だどえや』『昨日の相撲見た?』『あなや奇相の株の姫君ぃ』『そなたそなた』『指食う?一本1000円』『ガハハはハハハのは!』『始まるの?』『待てって待てって』『パスーぴゅロロろろろォ』『誰だよ見上げ入道連れてきたの』『魂!』『クラシック聞く?』『あにをり』『だから危ないって』『水は飲むものろうがッ!!』『絨毯欲しい……』『電気の味が変わったんよ』『そら豆。』  ワイワイ。  がやがや。  ざわざわ。  ぞろぞろ。  集まった妖、神たちは皆、思い思いに行動し、雑談をしている。  その数は目測にして100体を超える。  唖然とする撫子へ別嬪(べっぴん)は言う。 『大丈夫。彼らは圓酒の広大な山々に住む仲間たち。神も妖も垣根を越えて助け合い、共に過ごすことを良しとする我が領地の民です。』  妖と神たちを先導する者が二人いる。  その二人は顔を【別嬪(べっぴん)】と書かれた布で隠した女だ。顔が見えないので分からないが、奇妙なことに、撫子の目の前に居る別嬪に瓜二つの見た目をしている。  二人はふわりと宙に浮き、神、妖たちへと話す。 『みんな、来てくれてありがとう。』 『見ての通り、尾煎(びいる)ちゃんが混乱状態です。』 『百年前を思い出すね。』 『圓酒のためにも、尾煎(びいる)ちゃんを失うわけにはいきません。』 『手筈通りにいきましょう。』 『発破山くんに力を貸してあげて。』 『無理のない程度にね。』 『さあ、みんな。』 『『訓練の成果を見せる時です。』』
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