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私が日葵にとっての太陽だったなら、あの子は私にとっての土だった。
あの子がこうあってほしいという希望通りに、かっこよく、大人っぽく、頼れる、守ってあげる存在でいた。
だけど、それも今はもう無意味だ。
向日葵は花を咲かせると、太陽を追うように向きを変えることはやめる。
満開の幸せを手に入れた今、あの子がこっちを向いてくれることはもう二度とない。
二度と……
『紫が男の子だったら絶対好きになってたのに』
最高に優しいつもりが、最低に酷い言葉だ。
痛い。痛い。痛い。
「……そんなこと言われて、どうしろって……」
周りに轟音が響く。
傘の表面を弾丸のような粒が攻撃する。
バカ。
大嫌い。大嫌い。
雨の中、立ちすくむ。
顔を伝うのは雨粒じゃない。
両手がふさがってるせいで止められない。
あんたなんて……
大嫌い。大嫌い。
……好きよ。
日葵……
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