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あの曲が何であったのかは、今でもわからない。
顧問の先生さえ、“演奏してはいけない”ということしか知らなかったらしいと後に知ることになる。
私達にわかることは。あの日、学校の昇降口の硝子が何者かによって粉々に割られていたこと。
近所の印刷会社で複数、手足を引きちぎられた惨殺死体が出たこと。
惨殺死体は、この日以降一人ずつ、県内で増えていること。
犯人が一向に見つからないこと、そして。全てが起きた後でようやく知った、あの曲のタイトルの意味。
――чудовище……チュドリシ。ロシア語で、怪物。
その姿を見た者は、誰もいない。
自分達は一体、どんな怪物をこの世に放ってしまったというのだろうか。
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