成瀬、行く

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成瀬、行く

 この物語は恋の物語じゃない。 始めに後藤理紗との出会いを描いたが恋愛のメインではない。成瀬、つまり俺のはまってしまったカフェ巡りと食べ歩きの物語になる筈である。  赤門ビルから少し煉瓦屋という喫茶店で過ごす。俺はこの煉瓦屋の外を見るのが好きだった。  次はどこへ行くかな。 キッチン友に行こうか?とても美味しいお店だ。 それとも他のお店? 美味しくていい店···。 煉瓦屋から歩き、いい店を探しながら歩く。何を食べたいか?和食かラーメンか洋食か。 迷う。  大手町の映画館の近くにある庄司屋という蕎麦を食べることにした。 雰囲気もよかった。 「旨っ」 俺は声が出てしまった。 「庄司屋美味しいよね」 後ろから女性の声。振り向くと女性の蕎麦はまだ来ていないようだった。 「美味しいです」 俺は答える。 「庄司屋、映画館来ると私、いつも来ちゃう」 女性は微笑んだ。 映画館かぁ、フォーラムの方かなと思う。  俺は自分の蕎麦を食べる。 味わいながらゆっくりと。 汁に蕎麦をつけて口に食べる。 とても美味しい蕎麦が口の中に入る。俺の身体に感動が流れる。 庄司屋。いい蕎麦屋を見つけた。 よかった。  俺はあちこち行き回った。 いい店、残念な店。発見が嬉しかった。 「おい、成瀬」 棒を構えた男が俺に叫ぶ。 「なんだよ」 「成瀬はどの店に行くのだ!」 男は怒鳴る。 「まだ今日は決めてない」 俺は知らない男に言う。 「教えてやろうか?いい店」 男は言う。 俺は迷う。 霞城セントラルに行ってみなよ というわけで俺は霞城セントラルへも行ってみた。 実に素敵なカフェ、そして食事いのこ家山形田。    様々な美味しいお店を巡る俺。 仕事である国際ホテルへの出勤以外恋人も失いのめり込んでいた。 これからもどんどんどんどん俺は行く。 恋を忘れるくらいはまっていた。
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