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成瀬、問題越えろ
成瀬、お前太ったか?
山形国際ホテルで仕事中に俺に向かって先輩が言った。
「え···」
俺は絶句した。
色んな店が次々に出ては消えていく。
太らないわけはないよな。
気付かなかった。
それが最初の事だった。
ちょっと控えめにしようと思った。
ホテル業務に戻ると先輩だけじゃなかった、ん?という顔をして女性の方も「成瀬さん太りました?」と言ってくるようになった。
えー···太った?俺。
成瀬さんの体重を調べましょう。
一週間ごとに。成瀬さんのかっこよさが女性仲間からがっかりしてきましたので。
「趣味で太っただけです」
「仕事大事でしょ?しばらく趣味を休んでください」
しばらく趣味休んでくださいですと···。
美味しいお店の前で悲しい顔をする。
仕事大事でしょ?
でもお店···
俺は走った。
ホテルの仲間が俺の手を繋ぐ。
「成瀬さん!」
女性が呼ぶ。俺は止まり名前を覚えていなかった彼女に向く。
この綺麗な方は、思い出した。
山形国際ホテル美人ナンバーワンだ。
上山さん。
「私も同じだった。教えるよ」
上山さんが言った。
「ありがとうございます」
俺は頭を下げた。
ありがたい仲間。
「まずは運動、頑張ろ」
上山さんが俺を連れて運動の場所へ連れていく。スポーツジムという物だろうか、そういうのだろう。
しばらく運動をして外に出る。
ホテルのすぐそばにあったのに気付かなかった。
「成瀬さん、自分で作るのははまらない?食べ歩きだけ?」
「食べ歩きだけですけど」
作る?料理を?
「そっか」
上山さんが言った。
ラーメン食べたい。
仕事が休みで運動はしない日、上山さんに会わない。そして食べ歩き禁止。
ラーメン。
ラーメン。
ヤマザワにあるひまわりラーメン、馬鹿にできない美味しさ。
麺を口にしてチャーシューを、少ないと思うが食べる。
たまらんラーメン。
麺工房華みずき。ラーメン山之助のチャーシューラーメン。龍上海のラーメン。鬼がらしラーメン。どこに食べにいく。上山さんにばれないように食べまくりたい。
栄屋という店。
俺はラーメンを注文する。
座って待つ。
「成瀬さん、やりましたね」
背後で声がした。
ギクリと俺は固まる。
上山さんが立っていた。
「たまには···」
俺は言う。
「そうね、厳しすぎも痩せないもの」
上山は俺の隣に座る。
店員に注文をした。
「栄屋は美味しいよね」
上山が言った。
上山と俺はラーメンを食べる。
「上山さんに怒られなくてよかった」
「怒らないよ。私、上山珠乃したの名前呼んでよ」
上山珠乃はそういった。
「名前はまだ···」
俺は照れる。
ちょっとしたいい雰囲気だった。
運動と仕事。
そして食べる。
最近上山珠乃と食事に行くこともある。
だが恋愛は全くない。
そんな日々。
三ヶ月で十分やせれた。
やせて、上山珠乃からの助言は食べるなら運動をするという助言だ。
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